さが維新テラス

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9:30〜17:30
(土日祝・年末年始除く)

「SAGANOWA」イベントリポート

この盛り上がりに、鍋島直正公もきっとご満悦!
本格的な秋の到来を迎えつつある2025年9月27日、佐賀県の玄関口は明るく華やかな雰囲気に包まれ、大いに賑わいを見せました。
さが維新テラスに並ぶ鍋島直正、古賀穀堂、鍋島茂義のモニュメントの目の前で、県都駅前の「いま」が展開されていました。

偉大な名君の前で人が集う!

佐賀の中心地に颯爽と立つ3体のモニュメント、ご存じですか?

悠然と立ち扇子を広げるのは、佐賀藩十代藩主鍋島直正。藩政を主導し藩の財政を再建させたほか、藩校「弘道館」の拡充をはじめとした教育改革に取り組み、明治維新期に活躍する人材を多数育成。さらに欧米列強の脅威に対抗するため、西洋科学技術を積極的に導入し、鉄製大砲鋳造のための「反射炉」の建設や日本初の実用蒸気船“凌風丸”が建造された「三重津海軍所」を設立するなど、国防政策を果断に推し進めました。

そんな佐賀を日本屈指の「雄藩」へと躍進させた稀代の名君の両脇を固めるのは、直正ゆかりの人物。向かって左は、直正の教育係であり、また、藩政改革の参謀役だった古賀穀堂。右に立つのは、直正の義兄にあたる佐賀藩武雄領主で、藩政を補佐し西洋式砲術をはじめとする蘭学の導入に尽力した鍋島茂義です。

この3人のモニュメントは、「さが維新テラス」を背後に、佐賀駅や利用者を日々見つめています。

そんな彼らの視界にこの日、「SAGANOWA」と銘打たれた大掛かりなおもてなしイベントが繰り広げられたのです。

佐賀駅前でもてなす「SAGANOWA」!

日本商工会議所青年部(YEG)の九州ブロックの年次総会「第 45 回九州ブロック大会 葉隠小城大会」が9月26日、27日の両日に小城市をメインに開催されることに併せて、佐賀の玄関口である佐賀駅前にて、参加者のお出迎えと佐賀の魅力をPR するおもてなしイベントが開催される運びとなりました。

葉隠小城大会を取り仕切る、大会会長で小城商工会議所青年部(小城YEG) 常務理事の下村淳矢さんはこう言います。

「各地を回ったプロモーション活動が実り、今大会は史上最大の3,500人を超える参加者を集めることができました。これだけの人を佐賀に呼べたのは誇らしいこと。そんな記念すべき大会に花を添えるべく、各地から来られたYEG会員たちに『佐賀を知る』機会を設けたかったんです」

「駅前広場が大幅にリニューアルされ、さが維新テラスがオープンするなど、佐賀駅前はますます存在価値を増しています。ぜひこの場所を活用し、「佐賀も栄えている」ことを見せたかった。佐賀の旨いもん、お土産品、企業PR等をこの場で体験しながら、YEGメンバーだけでなく一般の参加者も楽しんでいただけるイベントとして『SAGANOWA』のプロジェクトを立ち上げました」

そう下村さんが熱く語った13時過ぎごろから、同日に佐賀市文化会館で開かれた記念式典を終えたYEGのメンバーが続々と駅前に集結。人の流れに惹きつけられるかのように、駅構内やその周辺にいた市民の方々も次々と足を運んで、広場は一気に賑わいの花を咲かせたのです

賑わいの場を創り出した「佐賀の和」!

駅前広場の東西の両端を囲むように設置されたテント群。

テントとキッチンカーを合わせて19軒。東側に10軒、西側に9軒が並び、調理を始めた飲食店からは香ばしい煙が立ち上ります。

さらにさが維新テラスにもテントとキッチンカーが出店。

各店舗に、店名を記したプレートには、「佐賀YEG」「鳥栖YEG」といった所属先が併記されていて、店主がYEG会員であることが分かります。

このイベントのために結成され準備を進めてきた「YEG佐賀連合会SAGANOWA委員会」が、県内の会員に積極的に声をかけて、多数の店舗出店が実現したことを窺わせます。

魅力ある店舗が揃ってこそ、活気が生まれるもの。大屋根スペースで行われるトークショーが始まる14時前後には、設置されたテーブル席が次々と埋まる盛況ぶり!

テーブルに腰を下ろし仲間と乾杯していた、県外から訪れたYEGメンバーの男性は、「佐賀の駅前がこんなに賑わって楽しいとは思わなかった」と予想外だった様子。

たまたま駅前の商業施設「コムボックス」でショッピングをしていたという友人連れの若い女性は、「駅前広場が人でいっぱいで、何だろうと思って外に出た。都会の駅前に来たみたいでワクワクしますね」と胸を弾ませていました。

佐賀駅前に人が溢れる状況に、出店者側も驚きを感じたよう。

今回駅前広場に初出店したという美容サロン店主は「不安はあったが蓋を開けてみれば、YEG会員の方を始め、多くの方に足を止めてもらっています」と喜ばれていた。

鹿島市から出店した鉄板焼料理店の経営者も、「以前にもここに出店したことがあったが、今回は段違いに人が多い。佐賀駅前における活発な活用や人々が集まる状態が定着しつつあるのでは」と手ごたえを語りました。

佐賀の中心部に出現した新たな憩いの広場を盛り上げるべく、県内のお店が終結して軒を連ねる、まさに「佐賀の和(わ)」が具現化した格好。

この客観的事実だけでも、このイベント名を名付けた主催者の想いが結実したように思えました。

「佐賀の輪」を共有したトークショー

そんな中、時刻が14時を指し、いよいよトークショーがスタートしました。

大屋根下の特設会場に、小野知一郎日本YEG会長、吉川徹YEG佐賀県連合会長、坂井英隆佐賀市長、打越隆敏佐賀県文化課佐賀復権推進チーム政策企画監の4人が登場。

トークショーではまず、小野さん、吉川さんがYEG大会の概要を説明。過去最大の動員数を記録したことが報告されると、会場から大きな拍手が沸き起こりました。

吉川さんは「佐賀がいかに素晴らしいところであるかを体験してもらえることは、大会の盛況と同じくらい嬉しいです」と胸を張り、大会期間中の2日間で4億円を超える経済効果が見込まれることを発表しました。

続いて、佐賀の偉人や歴史への取り組みについて、打越さんが熱弁をふるいます。「激動の幕末維新期に、国を想い自らを修め、先の見えぬ時代に勇気をもって前に進んだ」と佐賀が生んだ偉人たちにふれ、「県、市を挙げて今、佐賀が誇る先人たちの偉業を未来に伝える活動をしています」と説明。

後半には、地域の経済やまちづくりについての意見交換が行われました。坂井市長は「これからは『つながり力』が重要。互いの想いを理解し共鳴し合うことで、人は集い、場は賑わいます。佐賀駅前広場、そしてさが維新テラスがそんな場の役割を演じられれば」と、佐賀の新たな「集合場所」に期待を込めました。

「佐賀の偉人と歴史」というコンテンツを軸にして佐賀県内外の人々が思いを共にし、親交を深め合う。そんな「佐賀の輪(わ)」が芽生えたところで、トークショーは佳境を迎えました。

すると、会場にひとりの人物が現れ…

黒い角帽にロングコート、杖をつきながらのっしのっしと歩くその姿は…

え?まさか、大隈重信!?

大隈重信が歩いたさが維新テラスで見えた「佐賀の環」

トークショーの幕が引くとともに登場したのは、佐賀で活動する演劇集団「幕末維新佐賀の八賢人おもてなし隊」で大隈重信役を演じる青柳達也さんです。

15時からスタートする「偉人モニュメントツアー」の引率役を務める青柳さんは、完全に大隈のキャラクターに扮してその場で参加者を募っていました。

ちなみに「幕末維新佐賀の八賢人おもてなし隊」とは、2012年に佐賀市で結成された民間劇団。大隈を含む佐賀の八賢人を演じる俳優陣が、毎週日曜日に佐賀城本丸歴史館において毎回異なる演目の歴史寸劇を行っています。

冒頭に紹介した鍋島直正、古賀穀堂、鍋島茂義の解説から始まったモニュメントツアー。大隈重信を先頭にさが維新テラスを練り歩き始めました。

JR佐賀駅から南に約200m延びる広場のようなゆったり歩道空間として令和7年8月にオープンした「さが維新テラス」を、大隈の一行が颯爽と歩を進めていきます。参加者は、YEGメンバーと地元の人が半々といったところでしょうか。

大隈(青柳さん)が熱弁するのは、佐賀幕末維新史の概要。鍋島直正が藩主に就任してから始まる「雄藩」の軌跡を「大隈の視点」で語ります。内閣総理大臣を2度経験し早稲田大学を創立した大隈は、八賢人の最年少ながらも数多くの大きな偉業を残し日本史に名を刻んだ人物。そんな大隈が俯瞰的に激動の時代を振り返るスタイルだからこそ、語りに深みを与え、歴史ファンの胸に響くようです。

やがて一行が到着したのは、さが維新テラスの終点ともなる「さが維新広場」。

ここには、鍋島直正以外の七人の賢人、枝吉神陽、島義勇、佐野常民、副島種臣、大木喬任、江藤新平、大隈重信のモニュメントが立っています。

大隈(に扮する青柳さん)が、幕末維新期を共に駆け抜けた先輩たちを述懐するスタイルで、それぞれの賢人のエピソードを語り、参加者たちは熱心に聞き入っていました。

始点で鍋島直正が悠然と立ち、終点で七人の賢人が佐賀の街並みを眺めながら佇む。その間にあるさが維新テラスの今後の進化と発展を、賢人たちは願っているように思えます。

令和の時代に佐賀の繁栄の象徴となることを託された、佐賀の新たなメインストリート。

志は時代を超えて「循環」するもの。

そんな「佐賀の環」を、大隈重信が颯爽と歩き抜けたさが維新テラスを改めて歩きながら、ひしひしと感じた筆者でした。

祭りを終えて、新たな挑戦へ

今回、「SAGANOWA」に企画段階から携わった、佐賀YEG筆頭副会長の江口裕太さんはこう語ります。

「イベントを準備する中で心掛けたのは、訪問した県外者も、もてなした側の県内在住者も、垣根なく『みんなが楽しむ』時間を過ごすということでした。その意味では、目的は達成できたと思います。」

夕暮れが近い時間になっても笑顔が溢れ、賑わいが続く駅前広場を見つめつつ、江口さんは満足しつつもこう意気込みします。

「佐賀市中心部をさらに盛り上げるには、駅から『南へ南へ』と歩いてもらう取り組みが絶対に必要。次世代に繋げるまちづくりを推進する身として、これからも挑戦していきます」

幕末維新期に光輝いた偉人たちと、令和を生きる佐賀県人が交差する、新時代の佐賀のランドマーク。

あの時代に郷土の先人たちが人生を賭けて道なき道を拓いていったように、「佐賀を人で賑わう素敵な街に生まれ変わらせたい」という、熱い志を抱く人々の試行錯誤はこれからも続いていくことでしょう。

偉人たちは、「祭りのあと」の佐賀駅前広場とさが維新テラスを、やさしく見守っていました。

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